クローズドSNSが注目されている理由は？Z世代の心理に迫る

Z世代の心理を理解することが、これからのマーケティングやコミュニケーション戦略において欠かせません。昨今、BeRealやSnapchatなど、親しい友人だけとつながるプラットフォームが急成長しているのはなぜでしょうか？

クローズドSNSをメインに使用しているZ世代には、従来の方法でリーチすることが難しいという課題もあります。この記事では、クローズドSNSが注目されている理由を掘り下げ、ユーザーにアプローチする方法について考えていきます。

クローズドSNSが注目されている理由

なぜ今、Z世代はクローズドSNSに魅力を感じているのでしょうか。クローズドSNSが注目される理由を見ていきましょう。

背景にSNS疲れがあるため

SNSで投稿に「いいね」を押すことが面倒に感じたり、人からの評価が気になったりした経験はありませんか？フォロワー数や「いいね」の数といった、人気が可視化される仕組みは、承認欲求を刺激する一方で、常に他人と比較されるプレッシャーを生みます。

しかし、クローズドな環境であれば、自分の投稿がどれだけ評価されるかを気にする必要がありません。不特定多数のユーザーに見られる機会が少ないため、自由な表現を楽しめます。

親しい仲間との一体感を楽しめるため

昨今では、BeRealのような「映えない」リアルな姿をあえて楽しむSNSが人気を集めています。このように「友人との一体感」や「エンタメ感」 を楽しめるのも、クローズドSNSの利点です。

特定の友達同士やグループのみの空間で、安心感を持って交流できることも大きな理由に挙げられます。

プライバシーが確保されやすいため

オープンなSNSでは、投稿が意図せず拡散されたり、検索エンジンにインデックスされたりするリスクが常にあります。

一方、クローズドSNSは非公開設定が前提です。そのため、外部から自分の活動を「検索」されることがありません。閉鎖的なプラットフォームであるため、プライバシーのリスクが比較的少ないといえます。

不特定多数に見られる心配がなく、質の高い情報交換や深いコミュニケーションが可能な点で、注目されています。

流行のクローズドSNS6選

ここでは、近年流行しているクローズドSNSを6選紹介します。

BeReal.

「映え」や「加工」を徹底的に排除した、リアルな日常の共有に特化したSNSです。1日に1回、ランダムな時間に届く通知から2分以内に投稿することで、友人同士で「今、何をしているか」を飾り気なく見せ合う仕組みです。

特定の友人グループ内でのみ公開されるため、他人の目を気にせず、飾らないプライバシーを共有できます。

Bondee

自分を投影したアバターを通じて、仮想空間で友人と言葉を交わす「メタバース型」のクローズドSNSです。つながれる友人の人数に制限があります。

不特定多数とのつながりを遮断し、本当に仲の良い少人数だけで自分の「状態」や「気持ち」をシェアする、密度の高いコミュニケーションを重視しています。

LINE

1対1、あるいは特定のグループ内でのコミュニケーションを主軸とした、日本でもっとも普及しているインフラ型SNSです。投稿が広く拡散されるリスクが極めて低く、家族や親しい友人との「クローズドな会話」を維持するツールとして機能しています。

タイムライン（VOOM）以外は基本的に完全非公開の領域であり、もっとも身近なクローズド空間といえるかもしれません。

Snapchat

閲覧した直後に写真やチャットが自動的に消える「消滅型」の機能が最大の特徴である、クローズド型のSNSです。完璧な自分をアーカイブし続けるオープンなSNSとは対照的に「今、この瞬間」を使い捨てる気軽さが支持されています。

過去の投稿が蓄積されないため、完璧な自分を演出する必要がありません。その瞬間の感情や些細な日常を、気兼ねなく共有できる仕組みです。

Discord

特定のテーマや趣味ごとに「サーバー」と呼ばれる部屋を作り、音声やチャットで交流するプラットフォームです。サーバーごとに招待されたメンバーしか参加できないため、共通の文脈を持つ者同士で深いコミュニケーションが可能です。

TapNow

スマホの「ウィジェット機能」を活用し、「友人のホーム画面に直接写真を送り込む」新しいスタイルのSNSです。

アプリ内の世界で完結するのではなく、日常のデバイスそのものに友人の存在を溶け込ませる設計が特徴的です。限られた数人の親友やパートナーとの間でだけ、今の風景や自撮りをリアルタイムで共有できます。

クローズドSNSの利用ユーザーにアプローチする方法

クローズドSNSをメインに使用しているZ世代へのマーケティングは、従来の手法では届きません。彼らは意図的にオープンな場から距離を置いているため、新しいアプローチが必要です。

クローズドSNSのユーザーも、情報収集にはInstagramやXを使っています。ここで魅力的なコンテンツを発信し、興味を持ったユーザーが自発的にクローズドな友人グループ内でシェアする流れを作ることがポイントです。バズるよりも「友達に教えたくなる」コンテンツを展開するとよいでしょう。

第二に、広告出稿が可能なクローズドSNSを活用することも有効な方法といえます。たとえば、LINEは日本で9,500万人以上が利用する国内最大のプラットフォームです。LINE広告を通じて、精密なターゲティングができます。

Snapchatも広告プラットフォームを提供しており、若年層へのリーチに優れています。ストーリー広告やAR広告など、プラットフォームの特性を活かしたクリエイティブな広告展開が可能です。

また、広告を配信する場合も、プライバシーを求めてクローズドSNSを選んだユーザーの心理を理解し、過度に侵襲的にならないよう配慮することがポイントです。透明性を保ち、ユーザーの選択を尊重する姿勢が、長期的な信頼関係を築くことにつながります。

まとめ：クローズドSNSが示す新しいコミュニケーションの形

今、SNSのあり方は「情報の拡散」から「体験の共有」へとシフトしています。クローズドSNSの普及は、デジタル上の人間関係がより親密で自然な形へと近づいているともいえるかもしれません。

いかに自然な形でその対話の中に介在できるかが、今後のマーケティングの鍵となるでしょう。

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